ONCE LOST LIFE

今何を聴いているか。 今まで何を聴いてきたのか。 備忘録も兼ねて。

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FIREWIND - "The Premonition"

FIREWIND - ギリシャ出身のG奏者、Gus G率いるFIREWINDの5thAlbum。メンバーもギリシャ人中心に安定したことにより、前作よりも遥かにキャッチーに、曲毎にキャラの立った良質な楽曲群を堪能できる素晴らしいアルバムに仕上がっている。楽曲のキャッチーさは、もはやEDGUYやNOCTURNAL RITES等と肩を並べる程度まで熟成されてきており、もはやPowerMetalの枠を遥かに超越して、広義のメロディックメタルとして、より普遍的な音楽性に到達したと言ってもよいだろう。強靭なメロディーが勢いよく次から次へと迸り出て、曲毎にそれぞれ異なる強烈な印象を残しながら、あっという間にアルバム1枚を聴き終わってしまうほどの充実ぶりが凄い。シンプルに、ストレートに、歯切れの良い楽曲がバラエティ豊かに並ぶ様は、よくこれだけのマテリアルを揃えたものだと感心してしまう。同様なスタイルの楽曲が並ぶだけだった前作までの音楽的な幅を、今作では一気に倍にも3倍にも拡大したような形になっている。そのバラエティ感を演出しているのは、3曲目(と13曲目)の"Mercenary Man"と、9曲目の"Maniac"だろう。これらの一風変わったテイストの曲をアルバムに分散配置することにより、以前からは想像できないほどの起伏をアルバム展開にもたらし、さらに他の従来どおりの曲々のキャラを際立たせる結果となったのである。

1曲目"Into the Fire"はゆったりと思わせ振りなアコGのオープニングが印象的な疾走PowerMetalナンバー。メロディアスでキャッチーなサビのコーラスも頭に残るし、Gus GのGソロもいい。しかし本番は2曲目からである。2曲目"Head Up High"は疾走度を少々落として、唄い出しよりキャッチーなメロディーを迸らせてゆく。キレの良いGのバッキングにキャッチーなサビのコーラス。GとKeyが高速ユニゾンで突っ込んでゆくインストパートからGソロへ。3曲目は"Mercenary Man"はもろGary Mooreの"Wild Frontier"なHRナンバー。この曲がいいんだなぁ。ケルト風味の効いた哀愁メロディーが何度聴いても飽きない。サビのコーラスなどは頭の中で廻るまわる。気がつくと 口ずさんでいたりするほどのキャッチーさである。欧州ではシングルカットされたらしいが、さぞファン層拡大に一役買ったに違いない。もはやPowerMetalの面影も無い歌モノではあるが、この曲のお陰でこのアルバムの内容に厚みが増したことは言うまでもない。4曲目"Angels Forgive Me"もいい。大仰なオープニングから疾走感溢れるGリフが飛び出してゆく。シンプルかつキャッチーな歌メロが勢いよく哀愁を運んでくる。間奏部分の、短いものの温かみのあるGソロが素晴らしい。このGソロだけでも聴く価値はあるだろう。5曲目"Remembered"はゴリゴリのHMナンバーだが、キャッチーなサビのコーラスは変わらず。さらに間奏部分では気合の籠もったGソロを展開する。6曲目"My Loneliness"のスタートはバラードナンバー風。しかしここで一息、とはならない。哀愁溢れるキャッチーな歌メロでそのままドラマチックな歌モノに展開してゆくのだ。この曲もいい曲だなぁ。泣きのGソロは80年代風だし…。イントロのKeyリフが印象的な7曲目"Circle of Life"は歌モノHMな印象。淡い哀感が持ち前のキャッチーなサビのコーラスによって増幅してゆく。8曲目"The Silent Code"は5曲目と同様のHMナンバー。9曲目"Maniac"はMichael Sembelloの大ヒット曲のカバー。何でMichael Sembelloなのか理解に苦しむが、このアルバムのバラエティ感の醸成に多大な貢献をしていることは確かである。かつてSAXONがChristopher Crossの"Ride Like The Wind"をカバーしたことがあったが、その時以上の不思議な選曲である。10曲目"Life Foreclosed"は幾分ダークな質感のヘヴィロックナンバー。剛柔展開でダイナミックな変化をつける一方で、この曲にもキャッチーなサビのコーラスがしっかり搭載されている。11曲目"Ride To The Rainbow's End"からはボーナストラック3曲が続く。ボーナストラックの中では12曲目"Spirits In A Digital World"がいい。ミドルテンポのクラシカルなHRナンバーで、時代がかったヘヴィなGリフが主導するVoパートと、泣きのGソロが懐かしい。もちろん、13曲目の"Mercenary Man"のアコースティックバージョンも捨て難い。

特に2曲目から4曲目の流れが秀逸。その中でもハイライトは3曲目だろう。むしろ3曲目のような曲を増やしてゆけば、思わぬ人気を獲得することになるかもしれない。素晴らしいプロダクションが名曲の誕生を後押しして、忘れえぬ名作となったのである。

King Records KICP91301 (2008)

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RIVERSIDE - "Anno Domini High Definition"

RIVERSIDE - かつてPINK FLOYDよりもYESの方が好きだった当方にとっては、RIVERSIDEの音楽はそれほど関心を持って聴いてきたわけでもなかったのだが、CD店の店頭で見ると何故か気になって買ってしまうのだった。確か彼らの作品が日本に入ってきたのは2ndAlbumの頃だったと思うのだが、その後順調に作品をリリース、ポーランドProgRock/Metal界を代表する立場にまで昇りつめ、いよいよ今回、4thAlbumの登場となったわけだ。収録曲は僅か5曲、コリャ長大なる大曲が収録されているわいと睨んだものの、結局収録時間は44分に過ぎず、今どき珍しい、非常にコンパクトなアルバム構成となっている。3rdAlbumまで続いた"Reality Dream"シリーズが一段落した直後とあって、音楽的に新たなコンセプトが提示されているのかと思いきや、相変わらずのRIVERSIDEワールドが展開されている。彼らの場合は音楽性が特徴的であるが故に、ちょっとした音楽性の変化でもあまり目立たなってしまうのかもしれない。ただ、幾分音像がヘヴィになったようにも感じる。曲構成がますます凝ったものとなって、展開がよりダイナミックにスケールアップした感じも漂っている。個人的には初期のアルバムに収録されていた"Reality Dream"三部作ようなインスト曲が聴きたかったのだが、今回もそれが叶わなかったのは残念。

1曲目"Hyperactive"の収録時間は5分46秒。アルバム中最も短い曲でスタートする。オープニングはピアノの独奏にアコGが加わる。やがてDsとBによるソリッドな疾駆リズムがヘヴィなGリフを伴って席巻してくる。HMなGリフを主体とするバッキングに生々しいVoが絡んで勢いを付けてゆく。間奏部分の存在感溢れるKeyはRIVERSIDEならではのもの。2曲目"Driven to Destruction"はドライヴするBリフで開幕。BにGが加わって印象的なリフをドライヴさせてゆく。小刻みDsにアトモスフェリックなKeyが絡むバッキング。その上をロングトーンのGがスケール感を浮遊させてゆくという、彼らならではの音像が展開されてゆく。呟くようなVoから吼えるVoまで柔剛や緩急でメリハリを付けてゆく。間奏部分のロングトーンのGソロに絡むハモンド音のレトロ感覚。音像をタイトにしたり広げたりといった変化の付け方が上手い。3曲目"Egoist Hedonist"は抑え目なVoパートでスタート。煮え切らないような彼ら独特の歌メロが淡々としたVoで綴られてゆく。やがてGリフとハモンドオルガン登場、展開にメリハリを植え付けてゆく。間奏部分ではホーンセクションも登場、スケール感を醸し出す。泣きのGによるバッキングが映える中盤から、Key主導の後半へ。うねりのあるGリフ/GソロにアトモスフェリックなKeyが纏わり付いて、やがてハモンド音とソリッドなリズムが覇を競い合うエンディングへ。4曲目"Left Out"は11分の大作。リズムレスでゆったりとした抑え目のVoパートによりスタート。やがてハモンドをバックにスケール感溢れる泣きのGフレーズが叩き付けられる。大きなうねりでレトロ感覚溢れる音塊が膨らんだり萎んだりを繰り返す。静と動、明と暗、美と醜、対比するバランス感覚の妙。絶妙なダラダラ感が心地よさを生み出してゆく。エンディングのインストパートが眩しい。5曲目"Hybrid Times"はアルバム中最も長い11分54秒の大曲。スピード感溢れるピアノのバッキングによるVoパートでスタート。直ぐにヘヴィGリフによる激烈展開へ。Keyの醸し出すスケール感を利用しつつ、Gリフをベースに一気に押し込んでゆく。リズムによる畳み掛け方が凄い。浮遊感あるKeyにGソロが絡み付く様は独特な風情を感じさせる。TANGERINE DREAMのような脈動するシンセ音を基調に、神秘的なコーラスが印象的なパートも。

よく出来てるなぁ。旧さと新しさとの融合。昔聴いた様々なProgRockの音が脳裏に浮かんで来る。今作ではソリッドな音塊に押されて、以前のような浮遊感は薄れてしまったようにも感じるが、それだけヘヴィロックなダイナミズムに傾倒しているということなのだろう。掴みどころの無かった音像が掴みどころを増して、湧き上がる迸りがますます鮮明に捉えられるようになっている。相変わらずの、煮え切らない伏し目がちの歌メロが地味な印象を与えるものの、歌メロに魅力がないわけでもなく、よく聴けば結構キャッチーだったりもする。メジャーなプロダクションに支えられた非常に高品質なアルバムには違いないのだが、"Reality Dream"が収録されている初期のアルバムのように、暫く後にもう一度CDを引っ張り出して聴くかといえば、多分聴くことも無いだろうなぁ。

InsideOut Music SPV 710000 CD+DVD (2009)

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VINDICTIV - "Ground Zero"

VINDICTIV - スウェーデン出身のイングヴェイフォロワー、Stefan Lindholm率いるVINDICTIVの2ndAlbumがリリースされた。今回のアルバムは凄い。何が凄いかってその収録時間である。1時間18分超という、CD収録時間一杯に詰め込まれた楽曲は、全11曲ながら 6〜7分台の曲がズラリと並ぶという稀に見る重厚長大路線を走っている。前作での、常識的な曲長の楽曲が並ぶ構成から比べると、何とも様変わりしたものである。その収録時間の影響で、アルバム1枚を消化するのに時間がかかってしまった。しかも前作に比べて即効性のある曲も無く、その分掴みどころが無くなってしまったようにも感じる。そのため、一聴しただけではこのアルバムの内容の良さは伝わらない。とにかく時間がかかるのだ。何度も何度も繰り返し聴かないと、このアルバムの本当の良さは伝わらないだろう。何かと忙しい現代人にとってはツライ作品ではあるが、決して退屈な作品ではないこともまた事実である。

今作ではGöran Edmanは7曲しか参加せず、残りの4曲をMark BoalsとOliver Hartmannが担当している。SHADRANEの時もそうだったが、Göran Edmanが一部の曲に参加していなかった場合、制作過程で何かあったのではと勘ぐってしまう。例えば楽曲がヘヴィすぎて唄うのを嫌がったとか。しかし今回もStefan Lindholmは歌詞のみならず全てのヴォーカルアレンジをヴォーカリスト側に委ねているようだし、ヴォーカリストの自由度が高い制作体制となっていることから、Göran EdmanがSHADRANEの時のように製作途中で離脱したというのは考えにくいものがある。おそらく当初よりMark BoalsとOliver Hartmannの起用は決定していたことだったのだろう。

今作の重厚長大化の最大の原因は、楽曲毎に長いソロパートが必ず収録されていることだろう。前作ではGソロのない歌モノも収録されていたが、今作では1〜2分のソロパートが必ず用意されている。このソロパートを除けば、相変わらずのメロディアスな歌メロを基調としたメロディックメタルが展開されてゆく。スケール感たっぷりにハイトーンを響かせる1曲目"Modern World"を聴くと、本作でのGöran Edmanの本気度がよく判る。ヘヴィなGリフのバックで鳴り響く無機的なKeyフレーズが近未来感を呼び起こす。サビのコーラスはGöran Edmanならではの爽快感が漲っていてイイ感じ。自慢の高速Gソロも適度に湿り気を帯びて聴き応え充分。続くアルバムのタイトルトラックである2曲目"Ground Zero"も、唄い始めこそ"ちょいダーク"な感じだが、結局は爽快感溢れる人懐っこいサビのコーラスが印象的。イングヴェイなGソロも曲展開にお構いなしに長々と。Göran Edmanのスケール感溢れる爽快感と、イングヴェイなGソロのバランスがカギを握っている。3曲目"Reach Out"のVoはOliver Hartmann。2曲目同様に"ちょいダーク"な出だしでHM性をアピールするも、やはりサビのコーラスではキャッチーに。しかしOliver Hartmannは中低音のマイルドな歌声なので、Göran Edmanのような爽快感は無い。むしろ歌モノとしての重厚さをアピールしているかのような熱唱を披露。ネオクラシカルなフレーズを挟みながらのGソロもたっぷりと。4曲目"Golden Gate"はエスニカルな音階を塗しながらのオープニング。再びGöran Edmanの大仰なVoワークをじっくりと。延々と続くソロパートも聴き応え充分。中間色なメロディーが不思議な風合いを醸し出す。5曲目"Venom"は唯一のMark Boals担当曲。ピュアメタルな雰囲気の曲には、なるほどMark Boalsですか。Göran Edmanのような爽快感とは無縁の、熱の籠もった骨太なハイトーンがこの種の曲にはよく馴染んでいる。6曲目"Tweedledum & Tweedlede"ではGöran Edmanの爽快ハイトーンが復活。サビのコーラスの、相変わらずのキャッチーな爽快感と、唄い出し時のダークさとの対比は、Göran Edman担当曲の特徴か。イングヴェイなGソロも相変わらず延々と。

7曲目"I´m Back Home"はOliver Hartmannが担当。起伏の大きなメロディーを地味目の歌声で熱唱する一方で、Göran Edman担当曲にはない歌モノテイストも醸し出す。英詞のノリもGöran Edmanよりも良いようだ。そしてこの曲の最大の聴きどころが、4分過ぎから始まるGソロである。このGソロはこれまでとは異なって、入魂とも言えるほどの高速の泣きを披露する素晴らしいもので、本アルバムのハイライトとも言ってよいほどの出来。印象的なKeyのバッキングの上を、泣きのフレージングがこれでもかと投入され、あっという間に2分間が経過してしまう。何度聴いても飽きない鮮烈なソロパートとなった。しかもVoパートへの帰還もスムーズで、これはOliver Hartmannの力のなせる業だろう。8曲目"Marthas Song"は珍しく、唄い出しから哀愁漂う歌メロが印象的。Göran Edmanが得意の爽快感を封じ込めて、湿り気を帯びた歌メロをスケール感溢れる歌唱で余裕たっぷりに唄い上げている。9曲目"Overshoot Day"は哀愁溢れるオープニングから唄い出しもそこそこの湿り気が。しかしサビのコーラスではGöran Edmanが、得意の流麗なる爽快感を当たり前のように披露してしまう。せっかくの哀感がサビまできちんと透徹されればよいのだが…。ソロパートもそこそこの泣き具合でイングヴェイ化されている。10曲目"No Matter What"はアルバム中最も短い収録時間の曲。といっても5分59秒もある。ゆったりとしたバラード調のオープニングから、ちょいダークなVoパートへとシフト。その後、ポップな歌モノへと続き、いつになくGöran Edmanが抑え目に対応している。サビのコーラスの、人懐っこい歌メロにほっとするひとときが嬉しい。さらにエンディングは民俗楽器によるバンド演奏という、一番短い曲なのにもかかわらず最も充実した展開の曲となっている。11曲目"The Sacrifice"はゆったりとしたテンポでOliver Hartmannがダークな感じの歌メロを綴ってゆく。ところがこの曲も10曲目のように人懐っこいサビのコーラスに変貌する。10曲目と11曲目はサビのコーラスの印象が同じような…。

イングヴェイフォロワーの作品としては、ソロパートとそれ以外の部分に分けて考えるのが基本だとすれば、何といっても7曲目のソロパートが印象に残る。ソロパート以外の部分であれば、アルバム冒頭のGöran Edman担当曲の印象が良い。各曲には長いオープニングが用意されているが、凝った展開のオープニングも多く、そのオープニング展開を拡大させたようなインスト曲が無いのが悔やまれる。

Escape Music ESM190 (2009)

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SENTIMENT - "From Here To Ever After"

SENTIMENT - そもそもこのブログのタイトル"Once Lost Life"はフィンランド出身のProgMetalBandであるSILENT VOICESの、アルバム収録曲に因んで名付けたものだ。そのSILENT VOICESのVoだったMichael Hennekenが、本来の活動拠点としていたのがSENTIMENTという5人組グループである。SENTIMENTが日本先行デビューを果たすに至って、Michael HennekenはSENTIMENTでの活動に専念するためなのか、SILENT VOICESを既に脱退してしまっているようだ。それほどまでにMichael Hennekenが肩入れするSENTIMENTの音楽とはいったいどのようなものなのだろうか。早速聴いてみた。

ここで聴かれる音楽は、歌モノから様式美系までのメロディー重視型の北欧メタルに、若干のメロパワ的要素をブレンドしたような音楽である。楽曲によってはNOCTURNAL RITESやGDGUYを彷彿させるような瞬間もあり、いずれにせよ日本人好みの強力なメロディーを備えた楽曲が並んでいて、非常に解りやすく聴きやすい内容となっている。タイプは若干違うかもしれないが、ALTARIA辺りに近い精神性をも感じる。つまり、メロディアスな楽曲は粒揃いで、飛び抜けた曲もない代わりに駄曲もないという安定した内容。バラエティ感もそこそこあって、様々なスタイルの楽曲に対応するMichael Hennekenを楽しむことができる。ま、そのクセのある歌声が全ての曲にマッチしているかと言えば、必ずしもそうとは言い難いところが難しい。

メジャー感は薄いものの、昔ながらの手堅い北欧のプロダクションは決して悪くはない。堅実な演奏も派手さは無いが、起伏の大きなメロディーをしっかりと支えて見事な安定感を醸し出す。必要以上に派手な装飾などはなく、各楽器の出し入れでメリハリを強調するシンプルなアンサンブル。1曲目"The Dark Side"はうっすらと響くハモンド音が郷愁を誘うアップテンポの様式美風ナンバー。愁いを帯びたメロディーをMichael HennekenのVoが大きく旋回するようになぞってゆく。そうそう、この歌声なんだよな。クセのある粘着質のハイトーンは、当たり前だがSILENT VOICESそのまま。聴いているとSILENT VOICESかと、つい錯覚してしまう瞬間が満載である。非常にキャッチーな歌メロに、間奏部分のオルガンソロが時代性を超越させる。2曲目"Black Star Rising"はNOCTURNAL RITESかEDGUYのようなキャッチーなサビのコーラスが印象的なアップテンポのナンバー。歌謡メタル風の、哀愁溢れるクサい歌メロが堪らない、訴求力満点の曲である。間奏部分のKeyソロも印象的。3曲目"Breaking The Chains"は歌モノ北欧メタル風。キャッチーなメロディは起伏に富んで、ほの明るいサビのコーラスへ。間奏部分の古典的Gソロが泣かせる。しかしこの曲もキャッチーだなぁ。4曲目"Waiting For The Rain"はややテンポを落として、ミドルテンポの歌モノに。しっとりとした素晴らしいメロディーが網羅されて、気分はあの頃の北欧メタル黄金期へ。泣きのKeyソロも完備され、ただひたすらそのメロディーを噛みしめるのみ。いい曲だなぁ。5曲目"From Here To Ever After"はアルバムのタイトルトラック。温もり溢れる様式美風の疾走感でキャッチーなサビのコーラスへ突入してゆく。間奏部分は短いながらもオルガンとGの掛け合いも。6曲目"Fly On"は歌モノ。いかにも歌モノなイントロから、湿り気を帯びた歌メロへ。サビのコーラスはキャッチーすぎて頭の中で廻るまわる。「ちょいイングヴェイな」Gソロもいい。7曲目"Hourglass"はいかにも北欧メタルな唄い出しから、ぶ厚い歌メロでキャッチーなサビのコーラスへと続く歌モノ。相変わらず短いものの泣きのGソロが充実。珍しく緩急で曲展開にメリハリを付けている。8曲目"Circle Of Life"も同様に北欧メタル展開。強力なメロディーがいかにも北欧メタルなアンサンブルの下に展開されてゆく。素晴らしい雰囲気で印象的なサビのコーラスが響き渡ると共に、短いながらも泣きのGソロが堪らない。9曲目"The Last Day"はミドルテンポで抑え目の立ち上がりから、上方に向かってせり上がってゆくドラマチックな展開。珍しく重いリズムがゆったりと刻まれてゆく。10曲目"Coming Home"は一転してアップテンポに。牽引力のある疾走感が、持ち前のキャッチーな歌メロを引っ張ってゆく。これまた持ち前の、Gソロのフレージングが勢いをさらに倍加させてVoパートへと繋げてゆく。11曲目"The Long Winding Road"も10曲目のような疾走ナンバー。これまた印象的なサビのコーラスが眩しい。まるでNOCTURNAL RITESのよう。間奏部分のKeyソロからGソロへの流れも理想的で、アルバムのラストを飾るには相応しい曲だ。12曲目"The Sign"はボーナストラック。9曲目のようなドラマチックな歌モノで、珍しくバックにピアノを配置してアコースティックな質感を前面に打ち出している。当たり前のようにキャッチーなサビのコーラスが時代感覚をマヒさせてしまう。オマケの13曲目は、お馴染みRAINBOWのカバー("Spotlight Kid ")で、ここで彼らの音楽的ルーツがハッキリするという、何ともベタな選曲で幕。

メロディーの濃い楽曲が次から次へと繰り出されてきて、あれよあれよと言う間に思わず最後まで聴いてしまうほどの粒揃いな内容。どの曲も悪くはないが、強いて挙げるなら、しっとり系歌モノの4曲目だろうか。全般的に言えることは、キャッチーな歌メロもさることながら、特に素晴らしいのが間奏部分のちょっとしたKeyソロやGソロの醸し出す効果である。あっという間に終わってしまうほどに短いのだが、歌メロの盛り上がりを壊さずに引き継いで、更なる盛り上がりを付け足して確実に次のVoパートに引き継いでゆく、その整合感が素晴らしい。特にKeyソロよりも、GソロからVoパートへのつなげ方が上手い。楽曲全体を見通して間奏部分のフレージングがなされているように感じる。

MARQUEE AVALON MICP-10848 (2009)

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PRAYING MANTIS - "Sanctuary"

PRAYING MANTIS - 21世紀に入ってPRAYING MANTISはいつしか、気付いたら新作がリリースされているような、そんなグループになってしまった。90年代にはあれほどよく聴いたのに、最近ではアルバムのリリース間隔も間延びしたものとなって、2000年と2003年にアルバムをリリースして以来、2004年にベストアルバムをリリースしたのを最後に、その足取りは途絶えていた。その間に何があったのだろうか。イタリアのFrontiers Recordsから突如、ニューアルバムのリリースである。CD店の店頭で"Sanctuary"Albumを偶然目にして、不意を衝かれたような形になってしまった。しかもあまりにも無造作に陳列されていたので、手に取ってそれがPRAYING MANTISのニューアルバムであることを認識するまで時間もかかってしまった。一昔前であればPRAYING MANTISの新譜がリリースされるということは、かなりの扱われ方だったはず。それが他のメロハー系の新譜に混じってひっそりと片隅に陳列されているとは…。

前作から6年もの歳月が経過し、らしくないダークなデザインのジャケットは音楽性の変化も予感させる。レコーディング場所は何故か米国のアトランタである。しかも長年に亘ってツインGチームの一角だったDennis Strattonの名はもうどこにも無く、Andy BurgessなるG奏者に取って代わられている。アルバム毎に有名・無名を問わず新たな人材を起用してきたVoの座は、今回はMike Freelandという無名のVoが担当している。ともあれ、結局はTroy兄弟にPRAYING MANTISの全てが帰結してしまったわけで、この"Sanctuary"AlbumではTroy兄弟の持つ音楽性が剥き出しの状態で発揮されているに違いない。今のPRAYING MANTISは、かつての音楽性からどのように変化したのだろうか。

1曲目"In Time"から早くもPRAYING MANTIS節が全開。イントロから颯爽とツインリードGの哀愁フレーズで畳み込んでゆくが、過去の名曲群と比較するとイマイチ流麗さに欠けて時間も短い。これはDennis Stratton脱退の影響なのだろうか。最終的には、これまで彼らのトレードマークとも言えた哀愁のツインリードGによるイントロがこの曲にしかフィーチャーされておらず、早くも彼らのアイデンティティの一角が崩れてきていることが判るのだ。しかしながら哀愁の歌メロは健在で、ブリッジ部分からサビのコーラスにかけての切れ味が抜群。昔ながらのドラマチックな哀愁メロハーが堪能できる。緩急で展開にメリハリを付けて、ゆったりとしたエンディングの泣きのGソロへ。2曲目"Restless Heart"はややテンポを落として、爽やかさと湿り気が同居する80年代風の歌モノに。ここで改めて新Voがなかなかの逸材であることが明確になる。産業ロック系にハマりそうなハイトーンによる爽快な歌唱が映える。3曲目"Tears In The Rain"はミドルテンポで、哀愁のパワーバラード風。じわじわとくる展開に、泣きのGソロも配備。4曲目"So High"は、再びアップテンポの哀愁ナンバーに。イントロにツインリードGを配置する代わりに、サビのコーラスを冒頭に持ってくるという構成。新Voの伸びやかなハイトーンを生かしたドラマチックなサビのコーラスに哀愁が加味されて、PRAYING MANTIS節に舌鼓を打つひとときが待っている。やっぱりPRAYING MANTISはこうでなくちゃ。昔ながらのGリフも要所を締める。5曲目"Lonely Way Home"は泣きのパワーバラード。哀愁溢れる歌メロに、アコGソロが泣かせる。

6曲目"Touch The Rainbow"はいかにもPRAYING MANTISな泣きの歌メロが堪能できるアップテンポのナンバー。特にPRAYING MANTISらしいのはサビのコーラスの余韻だろうか。7曲目"Threshold Of A Dream"も強烈な哀愁ナンバー。あくまでもかつての簡略版のようではあるが、イントロからツインリードGによる泣きのフレージングが機能する。歌メロのバックを支えるGリフが懐かしい。鮮烈なまでの哀感がサビのコーラスに満ちている。素晴らしきハイトーンVoが醸し出す悲壮感も加わって、もう泣き泣きですな。8曲目"Playing God"も不動の哀愁で畳み込んでゆく。この曲では唄い出しは抑え目に、サビのコーラスで一気に哀愁が爆発する。泣きのGソロのフレージングも全盛期のように展開。9曲目"Highway"は2曲目のような80年代産業ロック風。哀愁度もほどほどに、ここで一息。10曲目"Sanctuary"は4〜5分の曲が並ぶ中で、唯一の6分台の曲。ややテンポを落としてじっくりと湿り気を帯びた歌モノを披露。ハッキリしたサビのコーラスの歌メロが印象的。

とにかく哀愁、哀愁、哀愁、…。1曲目や4曲目もよかったが、6曲目から8曲目にかけての哀愁3連発が圧倒的。アルバム全編を通して網羅される哀感は過去作を凌ぐほどではないだろうか。流麗なツインリードGの輝きこそ失ったが、歌メロの扇情力は相変わらずで、むしろ強化されたとの印象もある。彼らの音楽に対する明確なフォロワーが存在しない以上、PRAYING MANTIS節がこの時代に聴けるという貴重さを痛感する必要があるだろう。伝統芸能の炎を消してはいけない。

Frontiers Records FRCD416 (2009)

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